パニック障害でも突然重度の状態が出ることは少ないようです。できれば軽度症状のときに医師に相談すると重度にならないで済むとも言われています。
特に専門医によるカウンセリングを受けたり、ひどい症状が起る前に薬で止めるなど先回りの治療ができます。ではどのような症状が出たら、パニック障害の軽度症状なのでしょう。
心臓がドキドキしたり心拍数が急に早まったり、呼吸が早くなったり、それと同時に息苦しさなどないでしょうか。また寒気や火照りや汗をかくなど、更年期障害のようなことはないでしょうか。
また手足が震えたり、しびれたり、胸が痛くなるようなことはないでしょうか。また自分が自分でないような、宙を浮いているような感じや、足が地についていないような感覚になったことはないでしょうか。
他にも不安感、死への恐怖、焦りなど、何とも説明しようがない気持ちになりませんか。電車やバスに乗ると、とても息づまりを感じたりしませんか。
以上の中で気になることがいくつかあれば、パニック障害の軽度症状の可能性があると考え、早期診察をおすすめします。
また喘息、心筋症、心筋梗塞、電解質異常、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、側頭葉てんかん、アルコール禁断症状、不整脈、狭心症、クッシング症、低血糖、更年期障害、メニエール病、などとパニック障害などまちがやすい病気もあるので、素人判断でなく医師への相談を優先しましょう。
パニック障害は長い人は10年も治らないという人もいるのです。そのように長くならないように、できるだけ早いうちに治療を始めた方が、改善も早いと言われています。
すべての原因が解明されていませんが、直接的には脳内の神経伝達物質のバランスが乱れ、それがパニック障害には大きく影響しているようです。
そのため脳内のセロトニンとノンアドレナリンのバランスが乱れてしまうことが、パニック障害につながると考えられています。
セロトニンはいわゆる興奮状態を抑えて心の安定をつかさどる役割があり、ノルアドレナリンは不安や恐怖を引き起こす物質で、この2つのバランスが重要とのこと。
そのため早くこのバランスを取るような薬物治療をすることで、重度にならずに改善できると言われています。
パニック障害の症状による診断
パニック障害はその症状によって診断されるわけですが、やはり自分の判断では違う疾患と間違えることもあります。できるだけ早く専門医の診断を受けることが大切でなないでしょうか。
しかし専門医のところに行くまでの最初の1歩がなかなか出ない人が多いようです。それで発作が強く出るようになってから病院に駆け込むことになるなんてことも。そうなってからでは改善も時間がかかってしまいます。
しかしパニック障害になると軽度の状態でも、自分だけの力で治すことは難しいと言われています。そこで専門医に相談してカウンセリングをしっかり受け、薬物治療を行いながら改善していくことが勧められています。
それでも最初のうちは、まさか自分がパニック障害だとは思えないために医師へ診断が遅れてしまうことが多いのです。
そこで医師も診断に利用している国際低診断基準というものがあるので、パニック発作の診断基準をご紹介しましょう。
もちろんきちんとした診断は専門医でなければできませんが、医師の診断を受ける1歩が出ない人は、自分の状態と比べてみるといいのではないでしょうか。
まず、「動悸」「発汗」、「身震い」、「息切れ・息苦しさ」が急に起りますか。まずパニック障害の発作の場合、必ずこの4つ中の1つは感じるはずです。そして4つの中の1つ当てはまるものがあったら、他に
・窒息感、胸の痛みや不快感、腹部の不快感や吐き気はあるか
・めまいやふらつき、それに気が遠くなるような感覚があるか
・自分の体が自分でない感覚や、頭が浮かんでいるような不安定感があるか
・自分が体や心のコントロールが利かなくなるのが恐怖に感じるか
・死への恐怖があるか、麻痺やうずき、寒気や火照りなどがあるか。
この中に3つほど思い当たることがあれば、可能性はとても高いと言えます。その場合は必ず、すぐに専門医に診断を受けるようにしましょう。
そして早いうちの方が改善も早くなるので、思い切って勇気をだして医師の診察を受けることをおすすめします。
パニック障害の診断基準
パニック障害の診断基準というものがあり、それは医師の診断でも使われていますが、パニック障害の臨床現場では主に2つの国際的診断基準が使われています。
1つはパニック障害の診断テストと、もう一つはパニック発作における診断テストがあり、このどちらか片方を使ったり、両方を使うのは医師の考えによって違っているようです。
私たち素人はこの両方をやってみて、該当することが多ければ専門医に診断を受ける重要な時期にきていると考えるべきではないでしょうか。
ついもう少し我慢すればどうにかなるという気持で、自分がパニック障害をそのままうまく乗り超えられるのではないかと思っている人もいます。
また自分は体調が悪いだけであって、パニック障害などではないと認めたがらない人もいます。
しかしパニック障害は早い適切な治療を始めれば早く改善する可能性が高くなりますが、そのままにしていると苦しい状態が10年以上続く人もたくさんいます。
そして我慢すればいいというレベルではなくなってしまうと、仕事もできなくなり生活自体に支障が出てしまいます。
このようになってから医師のところに行っても、改善まで時間がとても長くかかることもあると言われているのです。
パニック障害はパニック発作が起りますが、その発作に対しての不安や恐怖が次の発作を引き起こす要因になるという障害でもあります。
つまり発作の数が多いほど、その不安や恐怖から抜け出しにくく、抜け出すのに時間がかかるということにもなりかねないのです。辛い経験は多いほど深いものになるのは、誰でも同じことだと思います。
だからこそ、自分がパニック障害かも知れないと思ったら、早く専門医に相談に行くことが大切です。専門医に行けば薬浸けにされることもなく、薬の力も借りながら克服していくことになります。
そこにはカウンセリングなど、心をしっかい支えてくれる治療もあります。できるだけパニック障害の専門医に診断してもらうことをお勧めします。